書評:中国の歴史1(陳舜臣) ~神話から春秋時代まで
中国史を全く知らない素人でも興味深く読める入門書。小説家の魅力的な文章で、中国の歴史を紹介してくれる。1巻は、中国の神話から春秋時代まで。
最古の王朝として「夏」という王朝があったと伝えられているが、これの実在は確認できず、現段階では「殷(商)」が確認できる最古の王朝である、とのこと。これも占いに使う動物等の骨に刻まれた甲骨文字が発見されて、初めて存在が確認されたという。
殷から周へ、そして群雄割拠の春秋時代へ、と歴史は動く。殷から周への転換は、アラフォー世代は、少年時代にジャンプで連載されていた「封神演義」により案外なじみが深いと感じている人も多いはず。
ただ、周も現在の中国から考えると国土は非常に狭く、地方国家程度の実力しかなかった様子。同様に他の地方が力をつけてくることで、周の存在が相対的に軽くなり、群雄割拠の春秋時代へと移行していく。
呉越の戦いが最後に書かれており、次巻以降は戦国時代へ。
中国史をほとんど知らない私でも、興味さえあればある程度はすらすらと読める。いきなり専門書を読むのはちょっと、という方には、小説に似た語りで歴史を知ることができる本書がおススメ。