書評:白鯨 ~読書スキルの限界を見せつけられた作品
文学史に燦然と輝く名著。
・・・のはずだが、読むのに非常に時間がかかり、挫折しそうになった。上下巻をひとまずは読んだが、果たしてこの本の面白さを私が理解できただろうか?この本を読むことで、しょせん私の読書スキルも知れたもの、という挫折感を味わった。
サマセット・モームが選ぶ、傑作小説10選のうちの一つに選ばれたらしく、名著として有名な作品。ただ、同時に読み通すのが非常に困難、という点でも有名な作品であるらしい。ひとまず、私と同じ挫折を味わった人は多いのだろう。
主人公は捕鯨を行うため、捕鯨船へと乗り込む。主人公が乗り込んだ船の船長は、モビー・ディックと呼ばれる巨大な鯨に、過去に片足を奪われており、再度モビー・ディックとまみえ、復讐をしたいと願っている。
モビー・ディックと出会う航海の中で、船長やその他の乗組員と主人公は心を通わす。やがて、モビー・ディックが目の前に現れ。。。
というストーリーで、新潮文庫版で上下各700ページ程度、計1400ページあるのだが、前述したストーリー部分は、200~250ページ程度で収まるもの。では、残りの1000ページ余はどんな内容なのか、というと鯨の博物学的な知識なのである。
最初の150ページ程度で、捕鯨船に乗り込み、船員たちと出会い、船長の描写があり、さて、次は航海の中での事件が描写されるのか、と思いきや、延々と鯨の生態や分類、その他それにまつわる科学的、または哲学的な考察が述べられる。そして、最後の100ページ程度で、モビー・ディックとの闘いが描かれる。
難解であろうと、小説である以上、何とか読み通せるだろう、と甘い考えで取り組んだのが間違いだった。さほど興味のない鯨の知識を、難解な文章で読まされるのはなかなか無い読書体験だった。ただ、間違いなく言えるのは、この本が駄作なのではなく、読み手がまだまだ未熟なのである。読書スキルをもっと伸ばすことができたその暁には、再度白鯨に挑戦し、この本の面白さを自分のものにしたい。
この本の読み方、面白さが分かる人は是非、ご教示願いたい。