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書評:Dr.STONE ~少年漫画の新境地!唯一無二の科学漫画

Dr.STONE26

先日、とうとう最終巻が発売されたDr.STONE

個人的には、科学というネタを競争が激しいといわれる週刊少年ジャンプで完結まで描き切ったのが単純にすごいと思う。さらに、読むと科学の知識が身につく点、子供にも安心して読ませられる描写等、親の目線でもいい漫画だと思う。

特に描写の面では、最近の週刊少年ジャンプの漫画群が大人向けにシフトしていっている中で、ともすれば暗くなりそうな舞台設定なのに、明るい雰囲気で進めていった点はストーリー構成の妙だと思う。

 

突然、全人類が石化する現象が全世界で発生。文明は一瞬で崩壊する。

そして、石化から3000年程度たったとき、天才科学高校生である主人公が石化から目覚める。主人公は文明が途絶えた地球で、科学の力を頼りに文明の再興を誓う。

人間の石化を解除するにはどうするのかを探り、石化から目覚めた人間同士の争いに巻き込まれながら、徐々に文明の再興に成功していく。中盤以降は、なぜ人類が石化したのか、の謎解きも加わり、クライマックスに進んでいく。

 

文明荒廃、人類滅亡後の世界、という舞台設定が与えられているため、ともすれば暗いストーリーとして語られがちであり、そのようなSF漫画作品は多いが、本書は全く違う。科学の力を信じ、人間を信じたうえで、どのようなピンチにもポジティブな思考で挑んでいく主人公は、少年漫画のテンプレートそのもの。

敵を倒す、のような少年漫画の登場人物に与えられがちな課題より、はるかに大きな課題を本書の登場人物たちは与えられているが、それでも基本的には明るい雰囲気でストーリーが進むのは、ストーリーテリングの妙だと思う。

もちろん、フィクション要素はかなり強く、場合によってはご都合主義に感じる展開もないではないが、本書はそのあたりのストーリーの精緻さではなく、科学を面白く、かつ分かりやすく伝えていることである。原始時代のような舞台から、徐々に現代の文明に近づいていく過程を見せられることで、人類の科学の発展を一端のみであるのだろうが読者にも感じとらせていることが、この漫画が他の漫画と一線を画すものにしている。