アラフォーの本棚

40前後の中年の読書記録を公開。

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

書評:白鯨 ~読書スキルの限界を見せつけられた作品

白鯨 文学史に燦然と輝く名著。 ・・・のはずだが、読むのに非常に時間がかかり、挫折しそうになった。上下巻をひとまずは読んだが、果たしてこの本の面白さを私が理解できただろうか?この本を読むことで、しょせん私の読書スキルも知れたもの、という挫折…

書評:ネジ式ザゼツキー ~ミステリーの枠に収まらない傑作本格ミステリー

ネジ式ザゼツキー 奇想。これに尽きる。 よく、こんなストーリーを考え付くな、とただただ脱帽する小説。読後に残るものは少ないが、読んでる最中はこの小説の世界観にただ圧倒される。最高級のエンタメ。 ミステリーを読まない人には、「容疑者Xの献身」を…

書評:容疑者Xの献身 ~純粋な愛とその残酷さ

容疑者Xの献身 現時点で、現代ミステリーの最高傑作と思う。ミステリーとしても一級。人物描写も一級。人を愛することの純粋さと残酷さが見事に描かれており、読後はただただ切ない。 冒頭、母子家庭に元夫(子供にとっての父)がやってきて、トラブルの末に…

書評:王とサーカス ~時に正義は悪より犠牲を生む

王とサーカス ミステリーとしては、派手なトリックがあるわけではないものの、緻密なロジックの上で事件の真相にたどり着く正統派。私はミステリーとしての出来もさることながら、事件の背景にある犯人の動機というか思想というか、そういうことを考えさせら…

書評:知らないと恥をかく世界の大問題13 ~なんとなくわかった気になっているニュースを理解しなおす

知らないと恥をかく世界の大問題13 1年に1回のペースで出版される本シリーズは毎年購読。出版時点での重要ニュースをその歴史的な背景までさかのぼって解説してくれるため、分かった気になっているニュースが意外とわかっていないことを教えてくれる。素人が…

書評:銀河鉄道の父 ~父親であることの苦悩と喜び

銀河鉄道の父 童話作家としては知らぬ者がいない、宮沢賢治の父を主人公とし、父親を通してみた賢治の成長を描く。世の父親は全員この小説に一部なりとも共感を抱くのではないだろうか? 宮沢家は代々質屋を営み、比較的裕福な暮らしをしていた。その家の長…

書評:レ・ミゼラブル ~降りかかる不幸も心の持ちようでは幸福に?

レ・ミゼラブル レ・ミゼラブルは、言わずと知れたフランスの作家、ユゴーの名作長編。 とはいえ、私はアラフォーになるまで読んだことがなかった。 こんなことでは恥ずかしすぎる、、、ということで読みました。 新潮文庫版は全5巻。 まず、言えることは、…

書評:中国の歴史1(陳舜臣) ~神話から春秋時代まで

中国の歴史1 中国史を全く知らない素人でも興味深く読める入門書。小説家の魅力的な文章で、中国の歴史を紹介してくれる。1巻は、中国の神話から春秋時代まで。 最古の王朝として「夏」という王朝があったと伝えられているが、これの実在は確認できず、現段…

書評:MBA バリュエーション ~M&A実務から資本主義について考える

MBA バリュエーション M&Aの際に用いる企業価値算定(バリュエーション)の教科書。企業価値の算定がどのような要素から行われるか、また、どのような過程で価値が確定していくか、が実務にも使えるレベルで記載されている。ただ、それにとどまらず、M&Aが果…

書評:黄泉のツガイ1 ~面白い漫画の予感

黄泉のツガイ1 能力バトルもの? まだまだ謎は多いが、今後の展開も面白そう。 舞台は、現実離れしたのどかな村から始まる。桃源郷のような村には、風習があったり、神様のような存在が信じられていたり、とファンタジックな要素が最初に提示される。 そんな…

書評:クレイジー・Dの悪霊的失恋1 ~ジョジョ要素を換骨奪胎

クレイジー・Dの悪霊的失恋1 ジョジョの名前を冠しているが、原作も漫画も荒木先生ではない。というところで、不安を感じていたが、個人的にはいい方向に予想が裏切られた! 原作では、味方と敵がスタンドを使って対決するバトル要素が非常に強いが、本作は…

書評:サウスバウンド ~世間の常識が正解とは限らない?

サウスバウンド コミカルな中にも、社会への批判が描かれて感動させられる小説。 また、小学生の心情も的確に描いた青春小説であり、少し変わった家族を描く家族小説の要素もある。ページ数は多いが、引き込まれ、どんどん読めた。 青春小説や家族小説が好き…